和希のお誕生日まで後7日
休日の過ごし方(石塚×和希)
「あ〜あ。思ったよりも時間が掛かったな。」
和希はため息を付きながらそう呟いた。
今日は祭日で本来なら仕事は休みだった。
けれども、普段学生をしている為にどうしても仕事が溜まっているので片付けに来ていた。
仕事が終わったら恋人の石塚とゆっくり過ごしたいと思った和希は珍しく外泊届けをきちんと出してきていた。
だから、朝早くから張り切って仕事をしていたのだった。
なのに、遅くても午後早くに終わる予定の仕事が終わったのは夕方の18時過ぎ。
これではいつもとあまり変わりない。
ドアのノックと共に石塚が理事長室に入って来た。
「お疲れ様です。和希様。」
机の上にコーヒーを置いた石塚に和希は言った。
「ありがとう、石塚。今日は休日出勤をさせてしまって悪かったね。」
「いえ、和希様とこうして一緒にいられて嬉しかったです。」
微笑む石塚に和希の頬が赤く染まる。
「祐輔…それって…反則…」
「はい?何がですか?」
「だって…俺が喜ぶ言葉をサラッって言うんだもん…」
少しふて腐れて答える和希に、
「何が嬉しかったか分かりませんが、私は和希様の可愛らしいお顔が拝見できて嬉しいです。」
にこやかに言う石塚に、
「本当にずるい…そうやって俺の反応を楽しんでいるんだから…」
そう言いながら、でも嬉しさを隠せない和希。
和希だって嬉しいのだ。
たとえ仕事であってもこうして石塚と2人きりで過ごせるこの時間がとても大切な時間なのだ。
コーヒーを一口飲んだ後、和希は言った。
「祐輔、俺今日は外泊届けをきちんと出してきたんだ。だから、この後は祐輔と2人きりで過ごしたいんだけれどもいい?」
石塚は和希の頬にソッと触れると、
「もちろんです、和希。今日は私のマンションに来て頂けますね。」
「うん!もちろん!」
和希は嬉しそうに微笑む。
忙しくてなかなか2人きりで過ごせないけれども、今日はゆっくりと過ごせる。
この時間があるから頑張れると和希は心の中で思っていた。
「俺、祐輔の手作りの料理が食べたいな。」
「私のですか?それは構いませんが、今からですとあまり凝ったものは作れませんが構いませんか?」
「祐輔の作った物は何でも美味しいから大丈夫だよ。」
「何かリクエストはありますか?」
「え〜と…俺オムライスがいい。」
「オムライスですね。」
「うん。祐輔の作るオムライスは凄く美味しいから、俺大好きなんだ。」
子供のようにはしゃいでいる和希に、
「分かりました。オムライスを食べた後は…」
「後は?」
不思議そうに顔を傾ける和希に石塚はサラッと言った。
「和希を頂きますので、よろしくお願いします。」
途端に真っ赤な顔になる和希。
そんな和希を見て石塚はクスッと笑うと、
「さあ、和希。早く帰りましょうか。時間が無くなってしまいますからね。」
石塚の言葉でハッとした和希は、
「…祐輔の意地悪…」
そう小さく呟くと急いで石塚の後を追って理事長室を後にした。
ある休日の和希と石塚さんでした。
石塚さんに甘える和希は可愛くて好きです。
そんな和希を甘やかせながら、石塚さんは大人の余裕をみせています。
オムライスの卵の上にケチャップでハートとか書いてあったらいいのになぁ…
と思ってしまいました(笑)
2009年6月2日