和希のお誕生日まで後3日

落ち込んだ時は慰めてあげますよ(七条×和希)

「おや、遠藤君。来てたんですか?」
会計室に入って来た七条はソファーに座っている和希を見て声を掛けた。
「あっ…はい…お邪魔しています、七条さん…」
明らかに疲れ切っているその姿を見て七条は何かあったのかなと思った。
そして視線をいつもの所にうつすと、
「遠藤君、郁を知りませんか?」
「西園寺さんでしたら、先程寮の自室に戻りました。」
「そうですか…僕に連絡もなしに帰るだなんて珍しい事もありますね。遠藤君は郁から何か聞いてませんか?」
「西園寺さんからですか?特には…」
ため息混じりに言う和希に七条は、
「遠藤君、今紅茶を入れますね。」
「あっ、すみません、七条さん。」
「いいえ。座って待ってて下さい。」

「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
七条が入れた紅茶に口を付けた和希は、
「美味しい!」
微笑んでそう答えた。
そんな和希を七条は優しく見つめながら、
「で、何があったんですか?」
「えっ?」
「郁と何かあったのでしょう?」
「どうして?」
驚く和希に七条は、
「遠藤君の様子を見ていれば分かりますよ。何があったんですか?」
「実は…俺、西園寺さんに呆れられちゃたんです。」
「郁にですか?またどうして?」
「王様がいけないんですよ…」
和希は頬を膨らませて先程の西園寺との会話を思い出していた。

「全く、丹羽の奴はけしからん。」
会計室に入った和希が西園寺から声を掛けられた最初の言葉がこれであった。
「あの…西園寺さん?王様がどうかしたんですか?」
「どうかしたんじゃない。あの野暮で粗野な丹羽の性格はどうにかならないのか!」
「えっと…王様が野暮で粗野な性格はどうかは把握できませんが、確かに品は良くはありませんね。」
「品など奴には無縁な言葉だろう。」
「はぁ…」
また王様が西園寺さんに何かちょっかいを出したのかな…と和希は思った。
まったく王様も辞めればいいのに直ぐに西園寺さんに構うんだから。
今回はどんな事をして西園寺さんのご機嫌を損ねたのだろう。

「遠藤、私の話を聞いているのか!」
「あっ、はい。聞いてます。」
本当は考え事をして聞いていなかったのだが、今そんな事を言えば、火に油を注ぐだけだ。
ここは大人しくしていよう…
和希はそう思っていた。
「大体入学させる時にある程度、学生の性格も把握してもらいたいものだ。」
「はぁ…」
「遠藤、貴様は理事長なんだろう?もっとしっかりとしてもらわないと困る。」
「すみません。」
思わず頭を下げて謝ってしまう和希。
そんな和希に西園寺はため息を付くと、
「悪かった。遠藤のせいではないのに。」
「いえ。学生を選んで最終的に入学許可をだしたのは俺ですから。」
「そうだな。学力や能力だけでなく、人間性もしっかり見てから入学させて欲しいものだ。」
「はい。貴重なご意見ありがとうございました。」
「遠藤、私はもう部屋に帰る。臣が戻ってきたらそう伝えてくれ。」
「分かりました。」

「なるほど…」
話を聞いていた七条は頷く。
今日の西園寺は丹羽の有り余るスキンシップでそうとうキレていたから、つい理事長である和希に当たってしまったのだろう。
和希は完全に八つ当たりをされた訳だ。
だが、そこは真面目な和希の事。
新入生の選抜に問題があったのではないかと気に病んでいたのだ。
七条は悩んでいる和希の頬にそっとキスをする。
驚いて頬を押さえる和希。
「し…七条さん…」
「はい、何でしょうか?遠藤君。」
「何でしょうかじゃありません。こんな所で何をするんですか?」
「こんな所って、ここは会計室ですよ。」
「だったら、こんな所でしないで下さい。」
「おや、だったらどこでならいいんですか?」

和希の顔がほんのり赤くなる。
「…七条さんの意地悪…」
「それは褒め言葉として受け取っていいのですね。」
嬉しそうに微笑む七条に和希は困った顔をした後、、
「もう…七条さんには敵いません。」
そう言うと和希から七条にキスをする。
触れるだけのキスだったのを深いキスに変える七条。
和希の口内を思い存分に味わった後、そのままソファーに和希を押し倒した。
ここまで来れば、もう和希が抵抗をしない事を七条は知っていた。
「愛してますよ、和希。」
「俺も…臣の事…愛してます…」
嬉しそうに微笑みながら七条は和希を抱き締めていた。






七条さん相手だと、どうしても色っぽい話になってしまいます(笑)
この後、和希は七条さんに美味しく頂かれるわけですが、会計室のドアの鍵は掛かっているのでしょうか?
うっかりかけ忘れてシテいる所を誰かに見られたら、大変な事になるんではないかな?
と思ってます。
                            2009/6/6