和希のお誕生日まで後5日
時間が欲しい(石塚×和希)
目を覚ました和希は窓から差し込む日差しを眩しそうに見つめた。
「和希、目が覚めましたか?」
和希を抱き締めていた石塚が耳元でそう囁いた。
その甘い艶のある声に先程まで散々愛されていた身体が再び疼いてしまう。
その事を悟られないように、和希は掠れた声で言った。
「祐輔も起きていたの?」
「はい。」
「今何時?」
「12時ちょっと過ぎですね。そろそろお昼にしましょうか?」
「うん。」
「では、少しだけ待っていて下さいね。」
石塚はそう言うと、ベットから出てガウンをまとってキッチンに向かった。
その後ろ姿を見ながら、
「祐輔がこんなに情熱的だとは思わなかったな…」
和希は痛む腰をさすりながら、幸せそうに微笑んでいた。
事の起こりは5月のG.W.後だった。
「和希様、今日の仕事はこれで終了です。お疲れ様でした。」
「石塚もお疲れ様。」
和希はそう言うと立ち上がり、スーツから制服に着替え始めた。
そんな和希に石塚が話し掛けた。
「和希様、お誕生日のプレゼントに何か欲しいものはありますか?」
「誕生日プレゼント?」
「はい、来月は和希様のお誕生日ですから。」
「そうか。忘れてたよ。う〜ん、誕生日プレゼントか…」
和希は少し考えた後、
「祐輔の時間が欲しい。」
「はい?それはどういう事でしょうか?」
「言葉通りだよ。学生を初めてから祐輔と一緒にゆっくりと過ごす時間が余り無いだろう?だから、誕生日の日に1日祐輔と一緒に過ごしたい。その日は平日だけど、俺学校を休むから。あっ、でも、仕事があるか…」
良い案だと思ったのになぁ…そう言いながらガッカリとした和希に石塚の顔から笑みがこぼれる。
「大丈夫ですよ。その日はお休みが取れるようにスケジュールを調整しますので。」
「本当?でも、俺と祐輔が一緒に休んでも大丈夫かな?」
「偶には岡田に頑張ってもらいましょう。少し心配な所もありますが、岡田も優秀な秘書ですからね。」
石塚の言葉に和希は破顔する。
「ありがとう、祐輔。俺、スケジュールが多少きつくなっても頑張ってこなすから。」
「はい。頼りにしていますね。」
その言葉通り、スケジュールは多少きつくはなっていたが、元々6月はそれ程忙しい月ではないので和希と石塚は前日の8日の午後から休みを取る事ができたのだった。
石塚は和希を自分のマンションに連れて来ると、
「今から明日まで、私の時間の全ては和希のものです。和希の好きなように使ってくれていいのですよ。」
「本当に?なら、祐輔の好きに使って。」
「私の好きなようにですか?ですが、和希の誕生日プレゼントですので和希の好きなように使って欲しいのですが…」
困惑する石塚に和希は微笑んで言った。
「うん。だから今から祐輔の時間の全ては俺がもらった。」
「でしたら…」
「祐輔の好きなように使ってくれたらそれが1番嬉しいんだ。」
「和希。」
そう言って石塚は和希にキスをする。
角度を何度も変え、啄むようにそして愛しいものを大切に扱うようなキス。
巧みなキスに腰が抜けそうになった和希を石塚は抱き抱えると、ベットまで和希を運ぶ。
ベットに和希を下ろしながら、
「それでは今から明日までずっと一緒にベットで過ごしましょうね。」
石塚の微笑みに和希はちょっとだけ引きつった顔をした。
「えっ…ずっと…?」
「はい。1度こうして1日中ベットの中で和希と過ごしたかったんです。」
「それって…もしかしてただベットの中にいるだけじゃないよな。」
石塚はニッコリと笑うと、
「当たり前です。ベットでする事と言えば分かるでしょう?覚悟を決めて私に愛されて下さいね。」
「え…えっと…祐輔?今日の祐輔はいつもと違う気がするんだけど…」
「気のせいです。愛してます、和希。」
優しい声と共に石塚の手が和希の身体に触れると和希の身体はビクッと喜びに震える。
こうなったらもう誰にも止められない。
自分で言いだしたんだからその責任は取らないと…
でも、明後日の俺は果たして動けるんだろうか?
まあ、なるようになるか…
心の中でそう思いながら和希は石塚に全てを預けたのでした。
篠宮さんと同票だった石塚さんでした。
『甘いお話 』『思いっきり甘やかされる話』というコメントを頂きましたので、1日中、ベットの中で石塚さんに愛されて、食事やお風呂の世話を焼いてもらう和希の話がいいなぁと思いました。
詳しく甘やかされている様子は書けませんでしたが、石塚さんにたくさん愛されて幸せな和希の様子を感じ取ってもらえたら嬉しいです。
2010年6月4日