和希のお誕生日まで後4日

ぬくもり(丹羽×和希)

カーテンの隙間から差し込む爽やかな朝の光に和希は目を覚ました。
「…もう朝か…」
そう呟いた和希の声は掠れていた。
和希の声が掠れているのは恋人である丹羽に昨夜から朝方まで散々啼かされてしまったからだ。
枕もとの時計を見ようと身体を動かそうとしたが、和希の身体に乗っている腕に邪魔をされて身動きが取れない。
寝ている間中、妙に重たい感じがしたのだが、その原因はこの腕が乗っていたせいだと気が付いた。
「もう…邪魔だってば…」
丹羽の腕を動かしたが丹羽は熟睡しているみたいで起きる気配すら感じない。
「まったく…気持ちよさそうに寝ているんだから…」
そう囁きながら、和希は丹羽の顔を見つめていた。

丹羽と恋人になり、こうして一緒に朝を迎えるようになりどの位の時間が経ったのだろうか?
何度こういう朝を迎えても和希は慣れる事はなかった。
今だに恥ずかしいのだ。
本当は行為が終わり暫くその余韻に浸った後、自室に帰りたいと思っているのだが、まだ1度も実行できた事はない。
なぜなら、和希がその余韻に浸った事がないからである。
そう…
丹羽は和希が意識を飛ばすまで激しく和希を求めるからだ。
そもそも丹羽と和希とでは体力に違いがありすぎる。
その上、和希は理事長と学生との二足わらじの生活を送っているのである。
ただでさえ、疲れが溜まっている。
それなのに、丹羽の求めに応じるには体力がいくらあっても足りなかった。
それでも、和希は丹羽の所に来る事をやめはしない。
どんなに疲れていても丹羽の事が好きだから、できるだけ側にいたいのだ。
でも、できればもう少し加減をしてもらいと常々思っていた。

気持ちよさそうに寝ている丹羽の鼻を摘みながら、
「いくら久しぶりだからってもう少し位加減をしろよな。」
「そんな事言ったって、和希が煽るんだから仕方ねえだろう。」
「…っ…王様…」
パチッと目を開いて、話掛けた丹羽に和希は驚きを隠せないでいた。
「どうした?鳩が豆を喰らったような顔をしてるぞ。」
「それは…まだ貴方が寝ていると思ったからです。いつから起きていたんですか?」
「う〜ん、今さっきだ。」
欠伸をしながら丹羽はそう言った。
「それよりも、さっきの一言が解せないんですけど?」
「あ〜、さっきの一言?俺、何言ったんだっけ?」
「もう…いつ俺が王様を煽ったって言うんですか?」
ムッとして言う和希に、
「最中に散々煽ってくれたじゃねえか。」
「だから!俺はそんな事はしていません!」
むくれて答える和希に丹羽はニヤッと笑うと、
「無自覚か?まったく本当に和希は可愛い奴だな。」
そう言うとギュッと和希を抱き締める。

「く…苦しいです…って言うかこんな事で俺、誤魔化されませんよ。」
「和希も変な所がしつこいんだな。」
「しつこくて結構です。で…いつ俺が煽ったって言うんですか?」
「だってよう、俺の動きに合わせて腰を動かしてくれるし、色っぽい声で喘ぐし、悶え方がとにかく凄かったよな。」
昨夜の和希の姿を思い出して丹羽は嬉しそうに微笑む。
その丹羽の顔に枕が当たった。
「痛っ!」
「もう…何言い出すんですか!!」
枕で丹羽を叩いた和希が真っ赤な顔で言った。
「何って、和希が夕べの様子を話せって言うから言ったんだ。」
「夕べの様子って…俺は何もそんな事頼んでいません。」
「煽った理由を言えって煩く催促したろう?」
「催促って…」

和希は口を噤んでしまった。
確かに丹羽の言う事に間違いはない。
煽った理由が聞きたいと頼んだのは和希なのだから。
でも…
何もここまではっきりと言う必要はないだろうと和希は思っていたが、丹羽はそうではないのである。
まあ、そこが丹羽らしい所なのだが…
黙ってしまった和希に丹羽は慌てて、
「和希?怒っているのか?俺の言い方がまずかったら誤るから機嫌を直してくれないか?」
俯いてしまった和希を心配そうに覗き込む丹羽の顔を見て、和希も拗ねているのが馬鹿馬鹿しくなってしまう。
少し(?)無神経な所があるが、そんな丹羽の事が好きなのだから仕方がない。
でも、すぐに許してしまうとまた同じ事を繰り返されるのでそれでは困ってしまう。
和希は布団の中に潜ると、
「王様、まだ朝も早いですからもう少し一緒に寝ませんか?」
小さな声でそう言うと丹羽は嬉しそうに、
「そうだな。もう一寝入りするか。」
そう言って丹羽は和希を抱き締めるとすぐに2人共眠りの世界に入っていきました。






『ほんわかした話』『ヘタレ王様』というコメントを頂きました。
昨日の石塚さんと同じにベットの中でのお話になってしまいました(苦笑)
一昨年1位、去年2位、そして今年は5位と順位が落ちてしまった王様ですが、サイトが王和メインの為王和話は普段読めるから他のCPに人気が集中したのかな?と思っています。
王様も和希もお互いに惚れ合っている話を書けて楽しかったです。
                          2010年6月5日