CAT

「ねぇ、哲也。俺の事愛してる?」
和希が可愛い顔でそう聞いてくる。
「ああ。当たり前だろう。」
「良かった。俺も愛しているからね。」
滅多に聞けない和希からの愛の言葉。
これって夢じゃないよな…と丹羽は思ってしまった。
和希が自ら進んで愛の言葉を囁いてくれるだけでなく、目の前で服まで脱ぎ始めてたのだから。
「哲也ならどんな俺でも愛してくれるよね?」
確認するように言う和希に丹羽は勢いよく頷く。
「当たり前だろう。和希が何だって俺は和希の事を愛せる自信があるぜ。」
「嬉しい!」
そう言って丹羽に抱きつく和希。
いったい今日の和希はどうなってるんだ?と丹羽は再度思った。
シャツをはだけた状態で丹羽に抱きつている和希を大事そうに抱き締める丹羽。
そして思った。
どうだっていいじゃないかと…
和希からこんなに甘えるなんて滅多にないのだから、考えようによってはこれはチャンスだ。
そう思って丹羽は和希の首筋にキスをしようとして顔を近づけた途端に硬直した。

「どうしたの?哲也。」
不思議そうに聞く和希に丹羽は強張った表情で答えた。
「和希…その頭についているのは…」
「ああ、コレ?」
クスリと笑いながら和希は頭の上のそれを触った。
「可愛いでしょ?」
「いや…可愛いっていうかどうしてそんなものがついてるんだ?」
「だってコレが俺の本当の姿だからね。」
「本当の姿?」
「うん。人間の姿になってるのって結構疲れるんだよね。」
そう言って微笑む和希は可愛いけれども…
「ちゃんとコッチもあるんだよ。」
そう言って丹羽にソレも見せる和希。
丹羽の顔がだんだんと青くなっていく。
「哲也が言ってくれたんだよ。俺が何だって愛してくれるって。ねっ。」
「…確かに言ったけどよう…」
「なら、大丈夫でしょ?愛してるよ、ニャァ!」
その一声で丹羽は意識を手放したのだった。 そう…
和希の頭には耳が生えていて、シッポまでついていたのだった。

「哲也、哲也…」
名前を呼ばれて目を覚ませば、そこには心配そうな顔をした和希がいた。
「和希?」
「良かった。凄くうなされていたんだよ?怖い夢でも見ていたの?」
「夢?あっ!」
そう言うと丹羽は和希を突き飛ばした。
いきなりの出来事に和希はバランスを崩して床の上にしりもちをついた。
「痛っ…もう、何するんだよ、哲也。」
「何って…お前化け猫だろう?」
「はぁ?何言ってるんだよ。いきなり人を突き飛ばした後は、化け猫扱い?いい加減にしないと俺本気で怒るからね。」
「だってよ…和希の本当の姿って化け猫なんだろう?」
「…」
「だって『人間の姿になってるのって結構疲れるんだよね』って言っていたじゃないか。」
和希は呆れた顔をした後、大きなため息を1つつくと、
「どんな夢を見てたんだよ。俺は人間だよ?化け猫のわけないじゃないか。」
「本当か?」
「もう…怒るよ、哲也。」
怒った顔の和希を見て丹羽はホッとした。
「良かった。俺、和希が猫だったら愛してるけど、別れるしかないと思っていた。」
「何それ?」
「だってさ。俺がいくら和希の事を愛していても和希が猫だったら側に居ることができねぇからな。」
「まったく…哲也の猫嫌いにも困ったものだね。」
呆れ顔の和希を丹羽はギュッと抱き締めた。
「ちょっ…苦しいよ、哲也…」
「いいだろう?和希が猫じゃないって分かって嬉しいんだからよう。」
「もう…それじゃ、ちょっとだけですからね。」
そう言いながら、和希は丹羽の背中に手をまわすとギュッと抱き締めたのでした。






最近ちょっと気になっている猫耳。
猫耳はいいよね…と思っています。
和希だって猫耳をつけたら可愛いのに…と思って付けさせてもらいました。
さて…和希はどんな猫耳が似合うのでしょうか?
楽しく想像して下さいね。
                    2009/9/21