Give A Present

「王様のお誕生日プレゼント何がいいと思う?」
そう啓太に相談されたのが、今日の昼休みだった。

食堂で昼食をとっていた時、啓太は深刻な顔をして和希に小声で話しかけてきた。
「和希…その…相談があるんだけど…」
「相談?構わないよ。何?」
「え〜と…ここじゃ話しずらいからどこか別の場所でもいい?」
「分かった。食べ終わったら移動しような。」
「うん!ありがとう、和希。」
「どういたしまして。」
安心したように食べ始めた啓太を見て和希も急いで残りを食べ始めた。

そして余り人が来ない場所で啓太から打ち明けられた話が「王様のお誕生日プレゼント何がいいと思う?」と言う相談だった。
頬を染めて相談する啓太はとても可愛いらしく、丹羽でなくても守ってあげたくなってしまう。
いい案が浮かばなかったので、一晩考えると言ってその場での話は終わった。

その日の放課後。
和希はいつも通りに会計室にいた。
七条が入れてくれたお茶を飲みながら、うかない顔をしている和希に西園寺は話し掛けた。
「和希、何があった?」
「えっ?」
「眉間に皺が寄っているぞ。何か悩みでもあるのか?」
「まあ、悩みと言えば、悩みなんですが…」
はっきりとしない答えに、
「何があった。はっきり言ってみろ。」
「そんなに大した事ではないんですが…啓太からの相談事で悩んでいたんです。」
「啓太の相談事?また丹羽が何かしたのか?」
「西園寺さん…随分と決めつけていますね。」
「当たり前だ。それ以外に思いつかないからな。」
「…」

王様って本当に信用ないんだな。
まあ、西園寺さんの場合どうして啓太が王様と付き合っているか不思議に思っているから余計なんだろうけど。
王様って逃走癖があるけど、そんなに悪い人じゃないと思うんだけどな。
カリスマ性があるし、頼もしいし、そして力もある。
西園寺さんは王様のガサツで大雑把な性格とデリカシーのなさを嫌っているけれども、王様の実力も認めている。
でも、やっぱり口が悪いのは許せないかな?
俺が西園寺さんと付き合う事を知った時に言った一言。
「郁ちゃん、こんなかわいげのない年上の男のどこがいいんだよ。」
正直カチンときたけど、すぐに西園寺さんが、
「お前には和希のよさが分からないんだろうな。」
そう言ってくれてとても嬉しかった。

「和希、どうした?」
西園寺の声で和希は現実に引き戻された。
「いえ…実は啓太の悩み事って王様の誕生日プレゼントなんです。」
「丹羽の誕生日プレゼント?ああ、そういえばもうすぐだったな。」
「はい。西園寺さんも何かあげるんですか?」
「私が?やるわけないだろう。逆に迷惑料としてもらいたいくらいだ。」
「それは…」
和希は思わず笑ってしまった。
「和希、笑うな。それで、何にするか決まったのか?」
「いえ…啓太に相談されたんですが、俺にも何がいいのか分からなくて。西園寺さん、何かいい物はありますか?」
「丹羽はつりやバイクが好きだからそれに関係した物がいいのかもしれないな。」
「あっ、そうですね。俺、今夜啓太にその事を言ってみます。」
「だが、啓太からもらえる物なら丹羽は何でも喜ぶと思うぞ。」
「何でもですか?」
「ああ。好きな人からもらった物はどんな物でも最高のプレゼントになる。和希もそう思わないか。」
「はい。俺もそう思います。」
好きな人がただ側にいるだけでも最高のプレゼントだと思っている和希だから、西園寺が今言った言葉がとても嬉しく感じていた。
和希は嬉しそうに微笑みながら言った。
「西園寺さん、相談にのってくれてありがとうございました。」






王様、お誕生日おめでとうございます。
王様のお誕生日は王和で…と思っていたのですが、どうしても啓太に「王様のお誕生日プレゼント何がいいと思う?」と言わせたくてこのような話を書かせてもらいました。
西和+王啓というパターンは初めてでしたが、楽しかったです。
                        2009/8/17