Jealousy

“ドンドン”
「遠藤起きてるか?」
激しくドアを叩く丹羽。
ドアを開け中から和希が顔を見せる。
「王様、今何時だと思ってるんですか?他の人の迷惑になりますから止めて下さい。」
「悪いなぁ。」
「まったく、とにかく中に入って下さい。」
和希は丹羽を自分の部屋へ入れると、ベットに座りお気に入りのくまのぬいぐるみを抱きかかえるとため息を付いた。
「で、まだ6時になったばかりのこんな早い時間に何の用ですか?」
眠そうに和希は言う。
丹羽は椅子に座りながら、面白なさそうに言った。
「遠藤、お前明日の夜親父と二人で飲むんだってな。」
「ええ、よく知ってますね。そう言えば昨日王様、家に帰ったんですよね。この時間に寮にいるって事は始発列車で帰ってきたんですか?」
「そうだ。」
「ふ〜ん。そんなに俺に会いたかったんですか?」
いたずらっぽく和希は笑う。
寝起きでちょっと乱れた髪で、パジャマ姿で笑う和希は可愛らしくて思わず押し倒したくなったが、無理矢理理性で押さえつける。
「冗談はここまでにして、一対どうしたんですか?」
「だから、今言ったろう。どうして親父と二人きりで飲むんだよ。」
「昨日竜也さんの誕生日だったでしょ。さすがに誕生日当日は奥さんがいるのにお祝いするのは無理があるので、竜也さんに聞いたら明日の夜ならあいてるって言うんで、2日遅れですけど誕生日のお祝いをしようかと思ってるんです。」
「あんな親父の誕生日祝いなんてお前がする必要がないだろう。」
「王様だって昨日家に帰ってお祝いしたじゃないですか。」
「俺は帰りたくて帰った訳じゃねぇよ。お袋がどうしても帰って来いって言うから仕方なく帰ったんだよ。」
「竜也さんにはお世話になってるし、別に飲むだけなんですから、いいじゃないですか?」
「ダメだ。絶対にダメだ。」
「何でですか?」
「親父と二人きりで会うのは絶対にダメだ。どうしても行くって言うんなら俺を連れて行け!」
「はあ〜王様をですか?なんで一緒に行かなくっちゃならないんですか?俺、お酒を飲みに行くんですよ。未成年の王様を連れて行ける訳ないじゃないですか?」
「大丈夫だ。俺は20歳以上に見える。」
「確かにそうですけど。でもダメです。理事長として生徒のアルコール飲酒を見逃す訳にはいきません。」
「そこで理事長になるなよ。」
「とにかくその案は却下です。」
「アルコールを飲まなきゃいいんだろう。大人しくウーロン茶でも飲んでるから連れてけ。」
「まったく、何でそんなに一緒に行きたいんですか?」
不思議そうに丹羽の顔を覗く和希に、丹羽はボソッと言う。
「やなんだよ。お前が親父と二人きりになるのが。」
「えっ…?」
和希は一瞬驚く。
「それって…やきもちですか?王様。」
「そうだよ。悪いかよ。」
ふてくされて言う丹羽を見て、和希はクスクス笑いながら、
「解りました。明日は一緒に行きましょうね。」
そう言いながら丹羽の側に寄ると、耳元でそっと呟いた。
「その代わり、王様の誕生日の15日には、二人きりで過ごさせて下さいね。」




竜也さん、2日遅れですけどお誕生日おめでとうございます(^−^)
竜也さんのお誕生日のお祝い用に書いたんですが…なぜか和希と王様しか出て来ないんです。
ごめんなさい。でも…でも…息子と未来の嫁(?)の和希が出て来たので許して下さいね、竜也さん。