Meaningless
俺の名は直井正児。
BL学園の柔道同好会に所属している。
本来なら部なのになぜか同好会なのである。
それもこれもすべてあの学生会の二人のせいだ。
何かにつけ、俺らにいちゃもんをつけてくる。
おっと、今日はそんな話をしている場合じゃない。
今日8月11日は記念すべき俺の誕生日である。
実は俺には気になる奴がいる。
学園MVPといつも一緒にいる可愛い奴…遠藤和希。
あいつに誕生日のお祝いの言葉を言って貰いたい。
そう思って手芸部の部室の側でこうして遠藤が来るのを待っている。
「遠藤!」
部室に向かう途中で声を掛けられた和希は、声のする方を振り替えった。
「あ…悪い、急に声を掛けて。」
「いえ。それよりも何かご用ですか?直井先輩。」
「えっ…どうして俺の名前を知ってるんだ?」
「だって、柔道同好会の直井先輩って言えば、凄く有名ですよ。」
和希に微笑まれて、直井はドキッとする。
「そうか。俺って有名人なんだ。」
一人ほくそ笑んでいる直井の様子など、まったく気にも止めずに和希は直井の方へ近づく。
「直井先輩、それで俺に何か用ですか?」
間近に来る和希に、直井の心臓はバクバクする。
「あ…その…」
その時
「おっ!遠藤じゃないか。そんな所で何をしているんだ?」
「王様。」
丹羽の声が聞こえたとたん、ぱあっと華やかな笑顔に変わる和希。
和希の側に近づいた丹羽は、直井の存在に気付くと和希の腕を掴み自分の方へ引き寄せる。
突然の事でバランスを崩した和希は丹羽の胸に飛び込む形になった。
そんな和希を丹羽は片手でギュッと抱きしめると、
「直井、貴様遠藤に何をするつもりだ?」
「はあ?」
「いくら部に昇格したいからって、遠藤を利用して学生会を動かそうとしているのか?」
「王様?直井先輩はそんな事してませんから。」
「あー、何庇ってるんだ遠藤。」
「庇っていませんよ。それより王様、その手離して貰えませんか?苦しいんですけど。」
「ダメだ。お前目を離すとろくな事してないな。」
「ろくな事って…何考えてるんですか?王様。」
「危なっかしい真似ばかりするんじゃねえよ。」
「してません!」
「してる!」
「してないって言ってるでしょ!!」
「信用できないな。」
「……王様、いい加減にしてくれないと俺キレますよ?」
「あ…あの…」
オズオズと直井が声を掛ける。
ハッとして直井を見る和希と王様。
「あの…俺もう行っていいですか?」
「あれ?直井先輩、俺に用があったんじゃないんですか?」
「なんか二人の言い合いみてたら忘れちゃって。」
「え?」
「それじゃ、俺これで失礼します。」
慌てて走っていく直井を丹羽は呆れ顔で見ていた。
「何だったんだ?あいつ。」
「さあ?俺にも解りません。」
「変な野郎だな。それよりも、遠藤あいつらにはホントに気を付けろよ。部に昇格する為ならどんな手でも使う奴らだからな。」
「はい。」
「これから部活か?」
「はい、王様は?まさかまたさぼりですか?」
「い…いや、これから行こうと思っていた所だ。」
「本当ですか?怪しいな…俺、学生会室まで送ってから部活に行きます。」
「えっ?」
「さあ、王様行きましょう。」
参ったなあという顔をしている丹羽に和希は微笑み、楽しそうに話ながら学生会室へ向かう。
そんな二人を廊下の片隅から直井は見ていた。
「あーあ。丹羽の奴さえ邪魔しなかったら、今頃は遠藤に“お誕生日おめでとうございます。”って言って貰ってるはずだったのに。」
悔しそうに直井は呟いた。
王様のお誕生日まであと4日
柔道同好会の直井正児の誕生日という事のなで書いてみました。
あまり印象がない方なので、この様な話になってしまいました。
直井さんがお好きな方には申し訳ない話になってしまってお許し下さい。