『優雅なひと時を…』
ここは、今流行りかどうかは知らないが、知ってる人は知っている執事喫茶『HEVUN』。
でも、普通の執事喫茶とは少し違っていてここは担当制になっていて1人の執事がティータイム90分の間ずっとついていてくれる。
少しホストクラブに似ているかもしれない。
完全予約制なのでゆっくりとした時間を過ごせるのも人気の1つである。
そして今日も執事喫茶『HEVUN』は満員御礼だった。
「ねえ、王様もそう思うでしょう?」
3人連れのお客の1人が丹羽に同意を求める。
「う〜ん、そうだな。まあ、そういう考え方もありかな?」
「ほら、やっぱり。王様に聞いて正解だったでしょう。」
「納得した?」
残りの2人に言われ、少し不貞腐れたように最初の女の子は言った。
「解ったわよ。どうせ、私の考え方は変わってるわよ!」
そう言った最初の女の子の頭を丹羽は優しく撫でる。
「そう不貞腐れるなって。俺は何も間違いだなんて言ってないだろう?ただ、この場合あんまり良い意見じゃないなと思ったまでだ。お前は間違っちゃいないぜ。」
「王様…」
「なっ。俺お前にそんな顔されるのが辛いんだよ。お嬢様にはいつも笑ってもらいたいからさ。」
めったに丹羽が使わない『お嬢様』の言葉にそのテーブルにいた全ての女の子はポウ〜としてしまう。
丹羽は執事にしては言葉使いは良くないが、その笑顔とメリハリの利いた会話とスキンシップでここ『HEVUN』のナンバー1の執事である。
予約を取るのも数ヶ月待ちという凄さである。
そんな丹羽にはお店のメンバーにしか知らない恋人がいた。
同じくここ『HEVUN』のナンバー3の遠藤和希である。
丹羽が一目ぼれをして、拝みに拝み倒してようやく手に入れた愛しい恋人である。
一見クールに見える和希だが、実はもの凄くヤキモチやきだというのは、哲也とナンバー2の中嶋しか知らないトップシークレットだった。
そして、今日も接客をしながら、丹羽の様子にやきもきしている和希だった。
「和希君?どうしたの?」
2人組の1人が和希の顔を覗き込む。
和希はハッと我に返り、すぐに謝り始めた。
「何でもありません。仕事中に気を抜いてしまって申し訳ございません、お嬢様。」
和希が頭を下げると、女の子は焦る。
「やだ、和希君。頭なんて下げないで。私怒ったつもりじゃないんだから。」
「でも…」
「本当にもう気にしないで。」
困った顔をして言うその子に和希は頭を上げながら微笑んで言った。
「ありがとうございます。お嬢様にそう言ってもらえて私は世界で1番幸せな執事です。」
女の子の頬がポッと赤くなる。
「本当ですよ。こんな素敵なお嬢様お二人方にお使えできて私は本当についています。」
「和希君…」
もう1人の女の子も顔を赤くする。
和希は優しく微笑みながら、
「あれ?お嬢様方顔が少し赤いですよ?今冷たいお水をお持ちしますから少しだけ待ってて下さいね。」
和希はそう言って急いでミネラルウオーターを取りに行くとすぐに戻って来て、コップに水を注ぐ。
「さあ、どうぞ。お嬢様。」
そう言って水を進める和希だった。
お客様を入り口まで送った後、和希はそっとため息をつくと、
「あ〜あ、駄目だな俺って。」
そう呟きながら控え室に入ろうとした和希は、グイッと腕を引っ張られて控え室ではなくトイレに引っ張り込まれた。
「痛…誰?」
和希はそう言うと、腕を引っ張った相手を睨んだ。
「王様?」
和希は驚いて叫んだ。
丹羽はニヤリと笑いながら、
「和希、お前また仕事中にボケッとしてたろう?」
「王様には関係ないでしょ?」
ムッとした表情で答える和希。
まったく誰のせいでミスったと思ってるんだよ?
大体王様があんなにべたべたと触らなければ気にならないのに…
スキンシップが多すぎるんだよ…
和希は心の中で文句を言う。
意地っ張りの和希はけして簡単には本音を言わない。
そんな和希の性格など解りきっている丹羽は苦笑いをしながら、
「何拗ねてるんだよ?」
「うっ、別に俺は拗ねてなんていない!」
「まったく…素直じゃないんだよな、和希は。」
「なっ…誰が素直じゃ…」
それ以上は丹羽に唇を塞がれて言えなかった。
「う…うぅ…」
和希は丹羽の背中を叩きながら抵抗はするが、その抵抗もすぐに収まり、大人しく丹羽にキスされていた。
舌を絡めあう深いキスに和希の息は上がってくる。
クチュッと音を立てて離された唇。
そこには、目を潤ませて丹羽を見詰める和希がいた。
「やべえな…」
「えっ…?どうしたんですか?王様。」
「悪い!痛いが我慢してくれよ?」
「はい?…って王様何やってるんですか?」
丹羽は和希のズボンと下着を一気に下げると、指を入れて少し強引に掻き混ぜる。
いきなりの行為に和希は強く痛みを感じていた。
「やっ…王様止めて…俺この後も…予約客が入ってるんです…」
「俺もだ。だから早いけどもう入れるぜ。」
「なっ…くっ…い…痛っ…」
和希の中に丹羽はいきなり入ってきた。
十分に解されてないそこは和希に快感よりも痛みを伝える。
和希の目からポロポロと溢れる涙。
「やっ…やだ…止め…あぁぁ…」
「悪い、和希我慢してくれ。」
丹羽の動きはだんだんと早くなっていく。
そして少しづつだが痛みから快感へとそれは変わる。
「和希…和希…愛してる…」
「う…ん…俺も…好き…んんっ…」
丹羽が和希の中に熱い熱を吐き出したのと同時に和希も白濁な液を吐き出していた。
そして30分後…
「王様?何か今日は凄くご機嫌なのね?」
「そっか?お前の笑顔が今日は眩しいからじゃないのか?」
「えっ…そんな…」
真っ赤になる女の子に、ご機嫌な丹羽がそこにはいた。
一方和希は…
「和希君、どうしたの?顔色少し悪いみたい?」
「目も少し赤いわよ。大丈夫?」
「申し訳ありません、お嬢様方。実は昨夜本を読んでいたら続きは気になってつい朝方まで読んでしまったもので。」
済まなそうに、でもニコッと笑う笑顔に女の子達はドキッとする。
「寝不足なんだ、和希君。」
「ねえ、何の本を読んでいたの、和希君?」
「今流行の…」
腰の痛みに耐えながら、得意のスマイルで頑張る和希でした。
昨日M.N.様とS.K.様にお会いした時に話した会話から思いついた話です。
ごめんなさい。
ネタを頂いてしまいました。
でも、楽しく書かせてもらいました。
執事和希は王様執事が大好きなので、王様執事が女の子に優しくする度にヤキモチをやくんです(←それって仕事にならないじゃない(笑))
そんな和希が可愛くて仕方ない王様は時々我慢できずに仕事の休憩時間に無理矢理和希を頂いてしまうんです。
その結果、もの凄くご機嫌で仕事に励む王様と、疲れきって憂いを帯びた和希が仕事をする姿が時々見られます。
と…すみません。
こんな話を書いてしまって。
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
2008/4/28