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プレゼントの中身はなあに?3

中嶋は嬉しそうに和希からのプレゼントを受け取った。
「開けてもいいか?」
「はい。」
紙袋の中にはダークブルーの毛糸で編んだセーターが入っていた。
中嶋は着ていたセーターを脱ぐと、紙袋に入っていたセーターを取り出して着た。
その場で中嶋がセーターを着てくれたのが嬉しくて、和希の目には涙が浮かんでいた。
その涙を中嶋は綺麗な指先で拭いながら、
「暖かいな。これは和希が編んだのか?」
「はい。俺にできるのはこれくらいですから。」
「大切に使わせてもらうぞ。何しろ世界にたった1つの貴重なものだからな。」
「世界にって…恥ずかしい事を言わないで下さい。」
「どうしてだ?その通りだろう。」
「それはそうですけど…」
和希は顔を真っ赤にさせていた。
「そ…それよりもケーキを食べませんか?中嶋さんは甘いものが苦手だと思ったんでチーズケーキにしたんです。お茶を沸かしますのでキッチンをお借りしても構いませんか?」
キッチンに向かおうとしていた和希の手を中嶋は掴んだ。
「中嶋さん?」
「ケーキは後でいい。今日中に欲しいものがもう1つあるんだが、それをもらっても構わないか。」
「今日中に欲しいもの?今からでも間に合いますか?日付が変わるまでそんなに時間はありませんよ。」
「ああ。大丈夫だ。欲しいものはここにあるからな。」
「ここにある?」

不思議そうな顔をする和希を中嶋はフワッと抱き締める。
「な…中嶋さん…」
「欲しいのは和希、お前だ。」
「えっ…」
「俺が1番欲しいのは和希だ。誕生日プレゼントにお前が欲しい。」
熱のこもった声を耳元で囁かれて和希の身体はビクッと震えてしまう。
身体を繋げる事は初めてではない。
もう数え切れない位求め合っていた。
それでも…求められる事に未だに慣れていない和希を中嶋は愛しいと思っている。
和希は中嶋を見上げて言った。
「俺でよければ…」
「最高の誕生日プレゼントだな。お前がいれば他に欲しいものなどない。」
和希はクスッと笑うと、
「それって欲が無さ過ぎだと思いますけど?」
「まったく…お前は自分の価値を全く理解してないからな。」
和希の笑顔を見て中嶋はため息を付く。
自分魅力をまったく理解していない和希。
だから、周りからいくら見られても何も感じない。
それどころか、『中嶋さんってもてるんですね。』と見当違いの事を言い出す。
皆が見ているのは中嶋ではなく和希なのだ。
そんな鈍い所も可愛いと思ってしまう自分に中嶋は内心呆れているのだが、これが人を愛する事なのだろうと思っている。

「それと、もう1つ欲しいものがある。」
「もう1つですか?何ですか?」
「もう名前で呼んでもいいだろう?」
「いつも名前で呼んでますよ?」
「『中嶋さん』ではなく『英明』と呼べ。」
和希の顔が瞬間に赤くなる。
「そ…それは…」
恥ずかしそうに俯く和希。
今まで『英明』と呼ぶのはベットの中だけだった。
しかも意識してではなく、夢中になってわけが分からない時に言わされているのである。
「言ってくれるだろう?」
顔を覗き込まれて和希は困ってしまう。
「で…でも…」
「でも何だ?」
「…恥ずかしいです…」
「慣れの問題だ。それとも俺の欲しいものはくれないのか。」
和希は迷うが覚悟を決めて言った。
「ひ…英明…」
「聞こえないな。」
和希は困った顔をしながらもう1度言った。
「英明、お誕生日おめでとう。生まれてきてくれてありがとう。これからもよろしくお願いします。」
とびっきりの笑顔で名前と誕生日のお祝いを言われ、中嶋は満足そうに微笑む。
「ありがとう。これからもずっと傍にいてその笑顔を見せてくれ。」
「はい。」
そう答えた和希の唇に自分のそれを落としながら、今までの中で1番素敵な誕生日を迎える中嶋でした。

2010/11/29
遅くなりましたが、中嶋英明さんお誕生日おめでとうございます!!!
これから中嶋さんは誕生日お祝いとして心行くまで和希を堪能するのでしょうね。
10代の体力…いや、中嶋さんの体力はきっと凄いでしょうから。
和希、頑張れ!!
明日の仕事はお休みを取って正解でしたね(笑)

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