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プレゼントの中身はなあに?2

和希は中嶋の部屋の前でドアを叩くのを躊躇していた。
今日は中嶋の誕生日。
本当は前日の8日から中嶋と一緒にいて、日付が変わる瞬間にお祝いを言いたかった。
だが、仕事が忙しかったのとプレゼントの製作に思ったよりも時間を取られ、昨晩は寮に帰れずに先程寮に戻ってきたのだった。
プレゼントは中嶋に内緒にしていたので、仕事が終わった後に理事長室で編んでいた。
そのせいで毎晩門前破りをした上に昨晩はとうとう無断外泊をしてしまった。
連日の無断外出そして昨日の無断外泊の件で篠宮に説教されもっと早く中嶋の部屋に来る事ができたのに今になってしまった。
もちろん、いけないのは和希自身なのだから仕方が無い。
わかってはいるけれども、やるせない思いでいっぱいだった。
時間は消灯過ぎ。
和希は手にもっているプレゼントとケーキを見つめていた。
気に入ってもらえるだろうか?
石塚は恋人からの手作りの物程嬉しい贈り物はないと言っていたが、本当だろうか?
相手はあの中嶋だ。
『鬱陶しい』と思われたらどうしよう。 やっぱり他のものにした方が良かったのではないだろうか?
そんな事ばかり考えていてドアをノックできないでいた。
だが、いつまでもここに立っているわけにも行かない。
3年生のフロアーに1年生の和希がいたら不審に思われてしまう。
覚悟を決めた和希がドアを叩こうとした時、ドアが開いた。
「な…中嶋さん…」
「どうしたんだ?そんな驚いた顔をして。」
「だって、急にドアが開いたから…普通驚くでしょう?」
「メールが来てから大分経つのに来ないので気になって様子を見に行こうと思っていたんだ。とにかく中に入れ。いつまでもそこにいると目立つぞ。」

和希は自分が消灯後の廊下にいる事を思い出し、慌てて中嶋の部屋に入った。
部屋の中はいつもと違い、綺麗にラッピングされた箱や袋がたくさん置いてあった。
それらが中嶋への誕生日プレゼントだと一目で和希は分かった。
「凄いプレゼントですね。」
「ああ。」
「中嶋さんの誕生日を祝ってくれる人がたくさんいるんですね。そういえば、啓太からメールが来たんですが、今日王様の部屋で中嶋さんの誕生日会があったそうですね。どうでしたか?」
「毎年恒例の宴会だ。丹羽は何か理由をつけて騒ぐのがすきだからな。結局3年間も誕生日を丹羽の部屋で祝われた。」
「素敵じゃないですか。」
「何か素敵なんだ。俺の誕生日をダシにつかって騒ぐだけだぞ。」
眉間に皺を寄せながら言うその顔を見て、和希は微笑んでしまう。
中嶋なら、本当に嫌なら出席などしない。
文句を言いながらでも出席するのは相手が丹羽だからだろう。
そんな関係を中嶋と築いている丹羽が和希には羨ましかった。
色んな意味でまだまだ自信がないからだ。
中嶋と丹羽との友情関係にやきもちをやいても仕方が無いと思っている。
だが、ふとした瞬間、2人の深い絆に嫉妬している自分がいる事に和希は気付いている。
そんな自分が嫌になってしまう。
今回もそんな気持ちが過ぎったので、慌ててその思いを打ち消していた。
「でも、楽しかったんでしょ?楽しかったっていう顔をしてますよ。」
「お前は目が悪いのか。楽しいわけないだろう。」
「そうですか?俺の目には楽しかったと言っているように映っていますけど、違うんですか?」
「まったく…くだらない事ばかり言うんじゃない。」

いつもと少し様子が違う和希に気付いた中嶋は、
「仕事で疲れているのか?随分と忙しそうだったが。」
「大丈夫です。それに明日は仕事が休みなのでゆっくりとできますから。今からですが、中嶋さんのお誕生日のお祝いをさせて下さい。中嶋さん、お誕生日おめでとうございます。」
和希からの祝いの言葉を聞いた後、中嶋は和希の唇にそっと触れる。
啄ばむようなキスに和希は蕩けそうになる。
愛しい人から与えられるキスはどうしてこうも甘いのだろうか?
中嶋から与えられるキスに和希も答えるようにキスをする。
触れるだけのキスから深いキスに変わるのに時間はそう掛からなかった。
クチュッという音と共に中嶋の唇が離れた。
潤んだ瞳で中嶋を見つめる和希は誘っているようにしか見えなかった。
「ベットに行くか?」
そう聞かれ、頷きそうになり慌てて首を横に振った。
「その前に中嶋さんに渡したいものがあるんです。」
「俺にか?」
「はい。遅くなりましたが、お誕生日プレゼントです。」
そう言って和希は紙袋を差し出した。

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