Strawberries Candy2

“コンコン”
丹羽の部屋をノックすると、すぐにドアが開き中から丹羽が顔を出した。
「和希?どうしたんだ、今頃?」
「哲也に会いたくて来ちゃいました。」
恥ずかしそうに頬を染めながら笑って言う和希はとても可愛かった。
「まあ、とにかく中に入れ。」
そう言いながら部屋の中に和希を誘う丹羽だが、手はしっかりと和希の腰にまわっていた。
「仕事大丈夫なのか?今の時期は忙しいんだろう?」
最近頻繁に理事長室に出入りしている丹羽は、この時期和希の仕事が忙しいのを知っていた。
だから気になったのだ。
わざわざ仕事を休んでまでここに来た理由が。
和希はニッコリと笑いながら、
「仕事は大丈夫です。今日お休みをもらいたかったのでこの数日頑張って仕事を片付けてきましたから。それよりも俺、哲也にこれを渡したかったんです。」
「俺に?」

不思議そうな顔をする丹羽に、和希は嬉しそうにスーパーの袋を差し出す。
大きいスーパーの袋2つを差し出され、丹羽は取りあえず受け取った。
が…
和希からの贈り物で今までスーパーの袋に入った物などもらった事のなかった丹羽はどういう心境でこれを和希が持ってきたのかが気になってしまった。
そして中を覗いた丹羽は、
「和希、これって…」
「はい。合格祈願のお菓子です。」
「そりゃ…見れば分かるけどよう。どうしてこんなにあるんだ?」
「この間テレビのCMで見かけたんで、哲也に渡したくてスーパーに行ったんです。そうしたら、合格祈願のお菓子がたくさん売っていたんです。俺ビックリしちゃいました。」
「で…もしかして、そこにあった合格祈願菓子全部買ったのか?」
「もちろんです。でも、よく全部買ったって分かりましたね。」

不思議そうな顔をする和希に、丹羽はそっとため息をつく。
そりゃ、これだけあれば普通誰だって分かるだろう。
しかも、合格祈願菓子って言えば出しているメーカーは決まっているし、その商品名も誰もが知っている。
そこまで思った丹羽は気が付いた。
和希は知らなかったんだという事に…
以前からある合格祈願菓子。
丹羽でなくても高校受験の時に縁担ぎで自分で買ったりもらったりと誰でも経験はある。
けれども…
特殊な環境にいる和希は知らなかったに違いない。
滅多に見る事のないテレビ(きっと啓太と一緒に見ていたのだろう)を見て、その存在を初めて知った和希が自分の合格を願って買ってきたのだろう。
丹羽は和希の気持ちが嬉しかった。

「哲也?」
合格祈願のお菓子を見つめている丹羽に不思議そうな顔で和希は声を掛けた。
「どうしたの?もしかして…迷惑だった?」
「馬鹿。迷惑なんかじゃねえよ。すげー嬉しいぜ。」
ニカッと笑う丹羽に和希はホッとして、
「それじゃ、どれから食べますか?」
そう言って袋を覗いた和希を丹羽は抱き上げるとベットまで運んで下ろした。
慌てる和希。

「て…哲也?お菓子を食べるんじゃないんですか?」
「ああ、後で食べるぜ。」
「後でって…」
「せっかく食べるんなら腹を空かせてから食べるのがいいだろう?これから運動しようぜ、和希。」
「運動って…あっ…んん…」
シャツの中に手を入れられ、胸の突起を触られ和希からは甘い声が漏れる。
「なっ、いいだろう?今日はもう仕事はないんだろう?」
「ないですけど…」
「なら、いいだろう?合格祈願菓子もいいけど、その前に和希を食べさせてくれよな。」
「もう…」
和希は困った顔をしながらも嬉しそうに言った。
「運動は程々にして下さいね。それで、運動が終わったら一緒に合格祈願のお菓子食べて下さいね。」
「分かった。」
そう言った丹羽の首に和希は手をまわすと、自分の唇をソッと丹羽の唇に重ねるのだった。



彩湖さまから頂いた小説『イチゴキャンディー』の話を元に書かせてもらいました。
この話を読んだ時、王様に合格祈願のお菓子を渡す和希の話が書きたくなって、彩湖さまにお願いしたら快く承諾して下さりました。
どうもありがとうございました。
王様は合格祈願のお菓子よりも和希の心遣いが嬉しかったと思います。
この後、嬉しさのあまり暴走してしまった王様に和希はクタクタになるまで愛されたと思います。
疲れ切って起きれない和希に王様が「ほら」と言いながら和希にお菓子を食べさせている姿を想像して1人にやついています。
彩湖さまにかぎりお持ち帰りO.K.です。
                        2009/3/30




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