Another Addition 8
この話をお読みになる前に下記の事をご了承の上お読みになって下さい。
今回は強姦シーンらしきものが出てきます。
王様の性格がかなりいつもと違ってます。(黒王様?)
これくらい大丈夫…と仰って頂ける方のみ、お読みになって下さい。
遠慮したいと思われた方は今回はお読みにならない事をお勧めします。
なお、『8』を読まなくても『9』への話は解るようにしてますのでご安心下さい。
やっと落ち着いてきたのに
中嶋さんと啓太を見ても前程胸が痛まなくなってきていたのに
なのに…
今の俺はそれを見て平然としていられる程強くはなかった
放課後、啓太と一緒に学生会室に行こうとしていた和希は、先生に呼ばれて1人で学生会室に向かっていた。
途中、図書室から資料を持ってきて欲しいというメールを啓太からもらった。
思ったより資料の量が多かったのと、鞄を持っていた為両手が塞がっていた和希は、ノックをせずに学生会室の扉を何とか開けて中に入ろうとした時、ドアの隙間から見えた中の様子に慌ててドアを背でそっと閉めた。
「これじゃ、中に入れないじゃないか…」
ため息混じりに呟いた和希は、突然声を掛けられて一瞬ビクッとした。
「遠藤?お前そんな所で何突っ立てるんだ?」
「お…王様…?もう、脅かさないで下さいよ。」
「別に脅かしてなんていないぜ?」
そう言いながら、和希の持っている資料に気付いた丹羽は、
「何だ。両手が塞がっていてドアが開けられないのか?今俺が開けてやるよ。」
そう言った丹羽の前に和希は立ち塞がった。
「遠藤?」
「だ…駄目です!王様、今は学生会室に入っちゃ駄目です!」
「あー、何でだ?」
「何が何でも駄目です!」
「駄目だって言われてもよう。俺は学生会会長だぞ。」
「それでも駄目なんです!もう少ししてから入りましょう。」
「はぁ?もう少ししてから?何で今じゃいけないんだ?」
「理由はどうでもいいですから。あっ、そこの教室、あそこに入って暫く時間を潰しましょう。」
和希はそう言うと教室の前に立ち、
「王様、早く開けて下さいよ。俺両手が塞がっているんですから。」
「あ…ああ…」
和希がなぜ学生会室に入るのを拒んだかよくは解らなかったが、とにかくその教室のドアを開けてやると、すぐに和希は教室に入り近くの机の上に資料を置くと、一息付きながら言った。
「あ〜、重かった。」
「なぁ、遠藤。何で学生会室に入っちゃいけなかったんだ?」
丹羽は教室のドアを閉めながら、和希に尋ねた。
「えっ…?え〜と…」
とたんに和希の顔が真っ赤になった。
なぜここで和希が顔を赤く染めたのか良く解らない丹羽だったが、俯き加減に頬を赤らめる和希はもの凄く可愛らしかった。
しかも、今のこの状況…空き教室に和希と2人きり…
思わず喉がゴクンと鳴る。
が…ここでもしも丹羽が和希に手を出そうとしたら、間違いなく和希に嫌われるだろう。
丹羽としてはそれだけは困るので、グッと我慢した。
大体ここまで話をしてくれる様になるまでどれ程頑張ったのだろう…自分で自分を褒めてやりたい丹羽だった。
「で、遠藤学生会室で何かあったのか?確か中にはヒデと啓太がいるはずだろう?」
「あ…はい…」
言葉を濁す和希の様子に、丹羽の疑問は膨らむ。
何なんだ、これは…何で遠藤はこんなに顔を赤くして、しかもはっきりとしないんだ?第一、今学生会室にいるのはヒデと啓太だろう?…うん?ヒデと啓太?あー、もしかして…
その理由に気付いた丹羽は、ニヤッとしながら言った。
「ヒデと啓太のキスシーンでも見たのか?」
「なっ…」
ビンゴだったようだ。
更に真っ赤になる和希を、丹羽は面白そうに見詰めた。
まったく幾つなんだ…と思ってしまった。
とうに20歳は超えてるであろう大人の癖に、たかが高校生同士のキスシーンでそこまで照れるものなのか?
第一海外に留学までしている癖にキスシーンなど珍しくもないだろうに。
まあ、そこがこいつの愛らしい所なんだがな。
丹羽はそんな風に思いながら和希を見ていたが、つい和希の唇に目がいってしまった。
赤くて可愛らしいよな、触れたらどんな感触なんだろう?
いけない…とは心のどこかで警報を鳴らしていたがもう止められなかった。
気付けば、丹羽は和希の腰に手をまわし、もう片方の手は和希の顎を掴み、和希の唇を奪っていた。
力任せに無理やり和希の口を開けさせて、自分の舌を和希の口内に侵入させ、荒々しく中を味わっていく。
いきなりの事に、最初は訳が解らなかった和希だったが、暫くして今の自分の状況にやっと気付いた。
とにかく、丹羽から逃れようと必死に暴れる和希。
ようやく、丹羽から逃れられた和希は、唇を手で拭うと、
「な…何するんですか、王様!!」
と思いっきり怒鳴った。
その目は軽蔑している相手を見ている目だった。
丹羽の心はチクリと痛んだ。
「何ってキスしただけだぜ。」
できるだけ冷静に丹羽は答えたが、その態度が火に油を注ぐ結果になった。
「キスしただけって…王様何考えているんですか!そういう事は俺にはしないで下さい!俺は王様とキスしたいという感情は持ち合わせていません。迷惑です!」
その一言は丹羽を深く傷つけた。
どうしてなんだ?どうしてヒデなら良くて俺なら駄目なんだ?ヒデと俺との違いは何なんだ?
丹羽は低い声で呟いた。
「たかがキスぐらいどうって事ないだろう?第一ヒデの事を、そういう目で見ている奴に言われる筋合いはないと思うぜ。」
「えっ…」
丹羽の目に戸惑う和希の姿が映ったが、もう自分の気持ちを抑える事などできなかった。
気付けば丹羽は和希を机の上に押し倒していた。
「痛っ!」
そう叫ぶ和希の声は、今の丹羽には届かない。
無理矢理ジャケットのボタンを外すと、シャツをたくし上げ、その胸の突起に触れる。
ビクッと震える和希の身体。
それが丹羽を誘っているように見えた。
片手で突起を撫で、もう片方の突起は口に含んで舌を使って愛撫する。
「ちょ…王様…止めて…下さい…ああっ…やっ…やだ…」
抵抗したくでても、丹羽によって与えられる快感で力が入らない。
「ほん…とうに…やめ…て…はあ…王…さ…まぁ…」
和希の声など無視して、丹羽はその動きを止めようとはしない。
和希のズボンに手をかける。
ズボン越しに和希自身を触ると、丹羽はニヤッと笑い、
「身体は嫌だって言ってないぜ?」
丹羽の言葉に、和希は涙を流す。
「もう…許し…て…王…様…」
手を緩めない丹羽に和希の口から切ない言葉が漏れた。
「…助けて、中嶋さん…」
それは、聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声…
でも、それは和希の心の叫び声だった…
“助けて、中嶋さん”…和希のその一言は丹羽の嫉妬心に火を付けた。
どうして…どうしてこんな時までヒデの名が出てくるんだよ…
遠藤…
今お前に触れているのは誰なんだ?
今お前を快感の世界に導いているのは誰なんだ?
今、お前を抱いているのは誰なんだ?
ヒデじゃない…俺なのに…
切ない思いを抱えながら丹羽はある決心をする。
どう足掻いたってヒデに叶わないなら…
心はヒデにくれてやる。
でも、その身体は俺がもらう。
そして、自分でも信じられない言葉を丹羽は和希に投げかけていた。
「今頃、学生会室では俺と同じ事をヒデが啓太にしてるんだぜ。あの2人だって楽しんでいるんだ。なぁ遠藤、俺達もここで楽しんだっていいだろう?」
ビクッと和希の身体は振るえ、その後身体を強張らせた。
抵抗していた動きは止まり、目からは一筋の涙が流れていた。
涙で濡れた瞳はもう何も映していなかった。
そんな和希を丹羽は黙って暫く見詰めていたが、大人しくなった和希のズボンを下着ごと引きずり落とすと、無理矢理和希の足を広げ、己の赴くままに、和希を自分の物にした。
「遠藤…その…大丈夫か?」
全てが終わった後、丹羽の心には後悔と言う言葉が浮かんだ。
誰よりも大切にする筈だった。
和希が中嶋を好きなのを知っていて惚れたのだ。
だから、和希の心の中から、中嶋がいなくなるまで待つつもりだった。
なのに、自分の気持ちを抑える事ができなかった。
恐る恐る聞いた丹羽に、和希は落ちていた制服を拾いながら答えた。
「満足できましたか、王様?」
「遠藤…?」
拾い上げた制服を着ながら、和希は冷たく言い放った。
「もう満足したでしょう?こうして俺の事を抱いたんだから。これで二度と俺の事を追いかけないで下さいね。」
「…」
制服を身につけた和希は、鞄を持ち教室のドアに手をかけると、
「ああ、1つ言い忘れてました。その資料、学生会室に持って行って下さいね。啓太からメールで頼まれた物なんです。俺、今日はもう学生会室には行かないので、お願いします。」
丹羽を見ずにそう言うと、和希は教室のドアを開けて出て行った。
1人残った丹羽は、机を拳で叩いた。
鈍い音が教室に響いた。
「どうして、こうなっちまったんだよ。俺はただ…遠藤が好きだっただけなのに…」
無理矢理犯してしまった行為…
和希にとってそれは強姦そのものだった。
愛しい相手をその腕に抱いたのに、今の丹羽には後悔と空しさ、苦しさしかなかった。
人形の様にただ抱かれていた和希の姿を思い出し、丹羽はどうしようもない思いに囚われていた。
ただ、解る事は1つだけあった。
もう、和希のあの笑顔を見る事は2度とないという事だけは理解できていた。
どうしてこんな事になってしまったんだろう?
俺の態度がいけなかったのだろうか?
俺が王様を追い詰めてしまったんだろうか?
いつの間にか俺は王様に甘えてしまっていたのだろうか?
歯車が狂うのはこんなに簡単な事だったんだ
初めての行為はただ切ないだけだった…
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