星に願いを 10

意識した途端に思った事は和希の気持ちを確かめたいという気持ちだった。
丹羽は腕の中にいる和希を離し、自分の方に向かせると、
「和希。俺はお前を愛している。和希は俺の事をどう思っている?」
「あの…」
丹羽に見つめられ思わず視線をずらす和希だった。
いきなりの告白。
でも、その告白は本心なのだろうか?
久我沼に言われて何となくその気になって言っただけではないのだろうか?
和希の胸のうちに様々な思いが過ぎる。
素直に信じてもいいのだろうか?
でも…
もしも、本心ならその気持ちを受け取りたい。
だってこんなにも想っているのだから…

和希は顔を上げて言った。
「…本気…なんですか…?」
「ああ。本気だ。俺は今自分の気持ちに気が付いた。和希が好きだ。愛している。俺と結婚してくれ。」
「…王…様…」
ポロリと零れる涙は幸せを感じて流れた涙だった。
どんなに想ってもこの想いは届かないと諦めていた。
だからこそ、嬉しさも一際だった。
涙を零す和希を見て丹羽は焦っていた。
「ど…どうした?和希。まさか嫌なのか?」
和希は黙って首を振った。
「なら、どうして泣くんだ?」
「幸せだから…」
「えっ?」
「ずっと…王様が好きだったから…王様だけを見つめていたから…でも、王様は俺の事なんか見てくれなくて…片思いだから何度も諦めようと思っていた。でも、それも出来なくて…」
「和希。」
和希は涙を零しながら微笑んだ。
「想いが叶うとは思わなかった。王様、ありがとうございます。」
和希がそう言った時、丹羽は和希をギュッと抱き締めた。
「…王様?…」
「礼を言うのは俺の方だ。今まで自分の気持ちにも、和希の気持ちにも気が付かなくて悪かった。」
丹羽はそう言うと和希の顎を掴み、優しいキスを落とす。
驚いて目を見開いた和希だったが、暫くすると目を閉じて丹羽に全てを預けていた。

「いい加減にしたまえ!」
久我沼の声にハッとする和希と丹羽。
和希は久我沼がいた事と思い出すと恥ずかしさに頬を染めた。
丹羽は邪魔をするなという目で久我沼を睨み付けた。
「久我沼さん、俺達の事はもうほっといてもらえませんか?」
「何を言っているんだ。君こそ和希くんから離れなさい。和希くん、こちらに来なさい。」
和希は首を振ると、
「ごめんなさい。俺、おじさんの想いにはこたえられません。俺は王様が好きなんです。」
「何を馬鹿な事を言っている。身分違いの恋は悲劇の元だ。止めなさい。」
「悲劇かどうかはこれからの自分達次第だと思ってます。俺はこれから天帝に全てを話します。」
「フン。そんな事をしても中嶋くんが許すわけがないだろう。」
「確かに許してくれないかもしれない。けれども、どれ程時間がかかろうとも俺は天帝に認めてもらいます。」
和希の意志の強さを見た丹羽は嬉しそうに、
「そういうわけだ。悪いな、久我沼さん。さあ、和希。ヒデの所に報告に行くぜ。」
「はい。」
和希は嬉しそうに頷きながら丹羽と共に屋敷に入って行った。




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