星に願いを 12
「どういう事だか、教えてもらおうか?丹羽。」
中嶋の冷たい声が丹羽の部屋に響き渡っていた。
和希が起きたら中嶋の所へ行こうと考えていた丹羽だったが、和希が目覚める前に中嶋が丹羽の部屋に来てしまったのだ。
和希の様子を見に行くと言ったきり帰って来ない丹羽を連れ戻す前に、和希の様子を見に来た中嶋は部屋に和希がいないのを不思議に思いながら、丹羽の部屋へと向かったのだった。
そして部屋に入った中嶋が見たのは丹羽のベットで寝ている和希の姿だった。
丹羽はちょうどシャワーを浴び終わって腰にタオルを巻いたままの状態だった。
部屋の中に脱ぎ捨ててある和希と丹羽の服。
そして乱れたベットの様子から何があったかは容易に想像ができた。
まだ目覚めてない和希を後ろに庇うように丹羽は立っていた。
「丹羽。どうして和希はお前の部屋のベットで寝ているんだ。」
「それは…体調が悪いからだ。」
「ほう…それにしてはどうして床の上に和希の服が脱ぎ捨ててあるんだ?」
「寝るのに邪魔だから、脱がしたんだ。」
「下着まで脱ぐ必要があるのか?」
「…」
丹羽はもう逃れられないと思い、覚悟を決めたその時和希が目を覚ました。
「う…ん…王様…」
「か…和希…」
「和希、そこで何をしているんだ?」
「えっ?天帝?」
慌てて起き上がった和希だったが、身に何もつけてない姿に慌てて掛け布団を引き寄せた。
和希の身体中に散らばっている朱い痕は抱かれた事を物語っていた。
「和希。正直に言うんだ。ここで丹羽と何をしてたんだ?」
「あの…」
中嶋に睨まれ、視線を泳がす和希。
「無理矢理にやられたのか?」
「えっ…」
中嶋の言葉に和希は何も言えなかった。
無理矢理って…それってレイプされたって事?
違うと言おうとする前に中嶋は丹羽に言った。
「丹羽。貴様何を考えて和希にこんな事をしたんだ。」
「ヒデ、誤解しないでくれ。これは合意の上でした事だ。」
「合意?和希がお前を受け入れたとでも言うのか?そんな事がある訳ないだろう。」
「どうしてそう言い切れるんだ。」
「和希を見ていれば分かる。」
中嶋がそう言い切ると和希の胸は苦しくなった。
中嶋の仕事はとても忙しい。
でも、忙しい中でも中嶋は和希の事を見てくれていた。
特に今回の久我沼の件ではとても気遣ってくれていた。
和希の事が大切だから、今回の丹羽との事にショックを受けているのだろう。
丹羽への想いは誰にも気付かれないように注意していたから。
だから…
和希を心から心配している中嶋へ和希は本当の事を言わなければならないと思った。
和希は中嶋に向かって言った。
「天帝。俺は王様が好きです。王様との結婚を認めて下さい。」
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